SAFを届ける、
その先へコスモエネルギーグループが挑む循環型社会の実現
コスモ石油マーケティング株式会社
代表取締役社長
髙山 直樹 氏

SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の供給が本格化する中、コスモエネルギーグループで販売を担うコスモ石油マーケティングは、その最前線で循環型社会の実現をけん引している。マーケットに最も近い存在として現場を率いる髙山直樹氏に、SAFの導入メリットや販売戦略、今後の普及に向けた展望を聞いた。
SAFサプライチェーンの
“ラストワンマイル”
2025年7月7日、国産SAFの供給開始を記念するイベントが東京国際空港(羽田空港)で開催され、小池都知事他、多くの関係者が集まり話題を呼んだ。同イベントに参加した髙山氏は、「東京都という非常に大きな自治体が、循環型社会の実現に高い関心を寄せていることを実感した」とこの日を振り返る。その関心の高さは、東京都が今春立ち上げた「国産SAF利用促進事業」からも窺える。コスモエネルギーグループは、このプロジェクトに記念すべき第一号の採択事業者として選ばれ、今や国産SAF普及に向けた「官民連携」の先駆的な存在として確固たる地位を築く。そして、その供給の最前線にいるのが、販売を行うコスモ石油マーケティングである。
サービスステーション(SS)やモビリティサービスを通じて利用者との接点を多く持つ同社は、「コスモエネルギーグループの中で最もマーケットに近い存在」と髙山氏が語るように、SAFサプライチェーンの“ラストワンマイル”を担う重要な役割を果たしている。
信頼と実績で選ばれる
コスモの国産SAF
脱炭素社会の実現に向け、航空業界の動きも本格化してきた。国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)は、航空由来のCO₂排出量を2019年比で85%削減するという国際目標を掲げ、エアライン各社はその達成に向けた取り組みを急いでいる。
中でも、既存の燃料インフラを活用しながら即時導入可能なSAFは、実現性と効果を兼ね備えた選択肢として注目を集めている。こうした潮流の中、コスモエネルギーグループが日本で初めて量産化を実現した国産SAFは、すでに国内外複数のエアラインで採用されるなど、確かな広がりを見せる。なぜ同社のSAFが選ばれるのか。その理由について、髙山氏は次のように語る。
「長年にわたり、ジェット燃料の安定供給を行う中で築いてきた信頼関係と取引実績が、SAFの導入においても大きな後押しとなっていると自負しています」
同社のSAFは、国際的な持続可能性基準であるISCC CORSIA認証を取得しており、信頼性と厳格なトレーサビリティによってエアラインから高い評価を獲得。さらに、国内製造によるサプライチェーンの安定性、地域資源の循環という観点からも、多くの支持を集めている。
知ることから始まる、
脱炭素への参加
SAFのさらなる普及には、まずその存在を広く認知してもらうことが重要だと髙山氏は強調する。俳優・賀来賢人氏を起用したテレビCMでは、「使い終わった食用油で空を飛ぶ」というインパクトあるメッセージを発信。こうした取り組みを通じて、「SAF」という言葉の認知率は約30%※と、社会的な関心が高まりつつある。
コスモエネルギーグループ独自調査(電通マクロミルインサイト 2025年4月)
認知拡大の先に見据えているのは、利用者自身が脱炭素の担い手となる“参加型”のスタイルだ。コスモエネルギーグループは現在、企業や自治体と連携して使用済み食用油を回収・再資源化する「Fry to Fly Project」にも参加。さらに、東京都や大阪府などの自治体と連携し、家庭から出る廃食用油を回収できるSSも増やしている。身近なアクションを通じて、誰もが脱炭素社会への取り組みに参加できる仕組みづくりを進めている。

「1度に回収できる廃食用油の量はわずかでも、積み重なれば飛行機を動かす燃料になります。小さな行動が空を守ることへとつながっていく。我々はその循環を、皆さまとともに実現していきたいと考えています」(髙山氏)
新たなエネルギーで、
次代のスタンダードを
つくる
2026年に創立40周年を迎えるコスモエネルギーグループにとって、SAF事業は単なる新規ビジネスではない。多様なステークホルダーを巻き込む事業は、新しいビジネスの在り方を示している。
髙山氏は、「SAFは私たちとお客様、そして社会全体をつなぐ“循環型のエネルギー”だと考えています」と語り、こう続けた。
「循環型社会を実現するには、どれだけ多くの方に関わっていただけるかが鍵になります。官民一体となり、社会全体でこの仕組みを育てていきたい。そのためにも、今後もSAFの販売と普及に力を注ぎ、次の時代のスタンダードを築きたいと考えています。社会のインフラを担う企業として、未来を見据えた挑戦と進化を一層加速させていきます」

廃食用油などを原料とし、CO₂排出量を約84%削減可能なSAF。環境負荷を抑え、既存インフラで活用できる循環型エネルギー。
エネルギーとは、社会を支えるインフラであると同時に、未来を描く力でもある。コスモエネルギーグループは、SAFという新たなエネルギーを通じて、次代のスタンダードを創出しようとしている。
「日経ビジネス 」2025年9月8日号(2025年9月5日発売)掲載の広告記事より転載(禁無断転載)