特別対談:UAEにおける石油開発事業
コスモエネルギー
グループとADNOC、
UAEとの強固な
パートナーシップ
コスモエネルギー開発株式会社
代表取締役社長 社長執行役員
境 剛太
アブダビ国営石油会社(ADNOC)
上流部門最高経営責任者(CEO)
コスモエネルギーホールディングス株式会社
元社外取締役(2017~2020年)
Musabbeh Al Kaabi氏
コスモエネルギーグループとUAEの長年にわたる関係性
- 境
- 当社グループを支えてくださっているアブダビ国営石油会社(以下、ADNOC)にはとても感謝しています。私は32年間のキャリアの中で、2015年から2019年まで石油開発事業に携わり、そのうち2年間はアブダビ石油(以下、ADOC)でヘイル油田の開発に従事しました。産油国であるアラブ首長国連邦(以下、UAE)において、極めてコスト競争力が高い油田を保有し操業するということは、当社グループの石油開発事業の競争優位性につながっています。当社グループの石油開発部門最大の強みは、グループ会社であるADOCと合同石油開発(以下、UPD)がオペレーターとして自社操業を行っていることであり、ADNOCとの緊密な関係を通じて、長年にわたり安全・安定操業を実現してきました。当社の持つ人的資源と物的資産の両方を活用することで、今後もUAEにおける石油開発事業をさらに成長させたいと考えています。
- Al Kaabi氏
- 日本とUAEの強固な関係とADNOCと貴社グループの長年にわたる良好な関係について振り返ると、1970年頃からすでに日本のエネルギー企業はUAEの石油・ガス業界およびエネルギー産業全般にとって信頼できるパートナーでした。
当時、UAEが日本企業に対し石油利権の入札を開放したことに対して、大協石油と丸善石油(ともに現コスモエネルギーホールディングス)、日本鉱業株式会社(現ENEOSホールディングス株式会社)が共同入札に参加し、石油利権を獲得しました。1967年には、先の3社とアブダビ首長国のムバラス油田の探鉱・開発に関する利権協定を締結。貴社は、半世紀以上にわたりムバラス油田の安定性と信頼性を保ちながら一貫した操業を継続し、さらにはエル・ブンドク油田、ヘイル油田など新たな権益も取得しました。この地域において、貴社とともにエネルギープロジェクトを築いてきた実績を誇りに思いますし、今後もさらに協業関係を発展させていきたいと思っています。
- 境
- 私もAl Kaabiさんと同じ思いです。当社グループは、UAEにおいてADOCとUPDの2社が事業を運営しているほか、今後もUAEにおけるさらなる発展をめざし、Offshore Block 4の探鉱も行っています。本鉱区はアラビア湾の浅瀬かつ既存油田であるムバラス油田に隣接しており、操業コストを抑制できるというメリットがあります。また、これらのエリアでは今まで石油探鉱を中心に行ってきましたが、カーボンニュートラルの潮流の中でLNG(液化天然ガス)への注目が高まっていることから、同分野への参入の可能性についても探っていきたいと考えています。もちろん、既存のプロジェクトの運営は重要であり、ADOCやUPDの既存事業にもまだ伸びしろがあるため、今後もこれらのプロジェクトはしっかり進めていきたいと考えています。
- Al Kaabi氏
- ADNOCは、貴社グループと長年にわたり強固なパートナーシップを築いており、効率性や低コストでの生産、開発能力の向上に注力し、価値の最大化のために建設的に取り組んでいます。
例えば、UPDやムバラス油田においては、日本企業の業務遂行能力に感銘を受けますが、ヘイル油田においては新しい石油開発スキームを開発・実行し、ADNOCと貴社グループ双方のために最大限の原油回収が実現できていることをうれしく思っています。
従来、原油回収量の増加のためにはサワーガス※1圧入が用いられましたが、これには複雑なプロセスと開発スキームが必要でした。ADOCは、サワーガスを回収し地下の油層に再圧入することで、2001年に中東で初めてゼロフレア化※2を実現しました。この技術は、環境保全と原油回収率の向上の両立を可能としており、UAEの国営石油会社として貴社のような有力なオペレーターが厳しい環境下で卓越した操業をされていることを頼もしく思います。ADNOCは貴社の事業運営能力の恩恵をすでに受けていますが、アブダビ首長国内でさらに展開され、原油回収量の最大化、高い収益性、業界最高水準の操業効率が実現することを強く望んでいます。貴社のコミットメントと技術力がADNOCと貴社グループのパートナーシップの価値を高め続けられることに疑いの余地はありません。
- サワーガス:石油生産時に発生する有毒な硫化水素や二酸化炭素が含まれているガス。地下の油層に再圧入できないものは焼却処理(フレアリング)されている。
- ゼロフレア化:石油生産時に発生するほぼ全量のガスを圧入することで、焼却処分する際に発生する炎(ガスフレア)を最小限に抑えること
今後の当社グループの方向性における外部からの視点
- 境
- Al Kaabiさんは以前、コスモエネルギーホールディングスの社外取締役を務められていましたが、当時と現在の当社グループを比べて、どのような変化があったと感じていますか。
- Al Kaabi氏
- 私は一時期、社外取締役を務めていたこともあり、貴社グループにはとても親しみを感じています。当時、貴社はエネルギー業界が大きく変化する中で確固たる地位の確立をめざし、事業ポートフォリオの見直しに加え、事業の多様化、イノベーション、サステナビリティなど多岐にわたる分野に注力していました。その結果、貴社グループは非常に優れた成果を上げていると思います。当時の戦略は改良が加えられ、事業の多様化、サステナビリティ、新エネルギー分野に注力し続ける一方で、効率性と石油開発事業の価値最大化も重視されています。私が在籍していた6年前と比べても、貴社グループは正しい方向に向かっていると思いますので、ぜひこのまま続けていってほしいと思います。
同時に、貴社が石油開発事業と同様に注力している日本の石油精製販売事業には、まだ大きなポテンシャルがあると感じています。石油精製販売事業は、貴社が今後、外部環境の変化に柔軟に対応しながら利益を創出し、盤石な形で企業として持続的に成長するための戦略の重要な要素となるでしょう。
Vision 2030には、「グリーン電力サプライチェーン強化」「次世代エネルギー拡大」「石油事業の競争力強化・低炭素化」という3つの柱があります。これらの柱は強固なものであり、次の成長ステージに進む上で大きな支えとなるはずです。貴社グループは、確かな技術と成長意欲を持っていますので、Vision 2030の実現に向けて株主に価値を提供し続けられると確信しています。
- 境
- 当社グループの大きな強みの一つは、原油の開発から石油製品の販売までを含めた、一貫した事業構造を持っていることだと思います。近年、国内市場が安定してきたことで、石油事業は健全なマージンを確保できており、それが財務体質の改善につながっています。電力事業においては、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの取り組みを拡大しています。次世代エネルギーや再生可能エネルギーの分野においても存在感を高めることに注力しており、この先どのように事業環境が変化しても、対応できるように準備を進めています。
コスモエネルギーグループへの今後の期待
- 境
- 当社グループが長年にわたりUAEで操業を続けてこられたのは、当社の技術力に対する強い信頼と、ともに築き上げた強固なパートナーシップがあったからです。今後もUAEとの関係をさらに強化し、ビジネス面だけでなく、文化面でも相互理解を深めていきたいと考えています。
- Al Kaabi氏
- 私も境さんと同じ思いです。UAEに対するコミットメントに感謝するとともに、今後もさらなる協業を期待しています。貴社がその尽力と技術力で、ADNOCと貴社グループのパートナーシップにさらに大きな価値をもたらしてくれると信じています。