イノベーションへの取り組みにおいては、従業員によって創造される知的財産が重要な経営資源となります。当社は、第8次連結中期経営計画(2026年度~2028年度)において、「第8次中計の基本方針」を策定しました。
当社の「第8次中計の基本方針」を受けた事業別戦略(第8次中計資料29~33ページ)の項目は以下の通りです。
〇石油/次世代エネルギー(精製)
- 製油所稼働率の最大化
- サプライチェーンの強化
- 脱炭素社会を見据えた低・脱炭素供給基盤の構築
〇石油/次世代エネルギー(販売)
- 燃料油販売高度化・モビリティサービス拡大
- 脱炭素社会を見据えた低・脱炭素供給基盤の構築
〇石油/次世代エネルギー(NeXTグロース・石油化学)
- 半導体・電子部品材、熱対策材拡大
- エチレン製造装置の最適運営の推進
- 化成品の収益拡大
〇資源開発
- 原油生産量最大化
- リチウム開発事業への参入(米国)
〇電力サプライチェーン
- 競争力のある電源の確保・拡大
- 需給調整機能の構築
- 電力販売の拡大
コスモエネルギーグループは、上記の項目を中心とした事業活動から得られる成果については、可能なものから特許権、商標権などの知的財産権により保護し、それをもって、将来の企業価値の向上に貢献していきます。
上記各項目に関連する、これまでの当社の知的財産活動の具体的な取り組みのうち主なものを以下に示します。
石油/次世代エネルギー(精製)
●製油所稼働率の最大化
•AI・デジタル活用によるデジタルプラント化の加速
石油事業領域では、安全操業、安定操業を目指すうえで、これまで様々な技術的アイデアを創出し、その成果を実施する権利を保護するため、下記を例とする特許出願・権利化を進めてきました。
特許第5342250号:バルブ管理システム
特許第4792484号:石油タンク用泡消火設備
特許第6600912号:重質炭化水素油の水素化処理触媒及び重質炭化水素油の水素化処理触媒の製造方法
特許第6632065号:炭化水素油の接触分解触媒、炭化水素油の接触分解触媒の製造方法および炭化水素油の接触分解方法
特許第7189823号:流動接触分解装置の原料油熱交換器の洗浄方法
等
一方、当社グループでは、石油事業の競争力強化(製油所の競争力強化)に向けて、製油所のデジタルプラント化による高効率化を推進しており、安全管理、運転、保全、調達など製油所を最適化する様々な高度化の取り組みを行っています。そしてその成果として、下記を例とする特許出願・権利化を進めてきました。
特許第6441551号:プラントの推奨運転条件を提供する方法、サーバ、コンピュータ可読命令および記録媒体
特許第7655695号:圧力損失の推定方法、圧力損失を制御するための反応方法、圧力損失推定導出装置、圧力損失推定プログラム
特許第7512084号:非防爆機器管理システム及び非防爆機器管理方法
特許第7715517号:情報処理方法、反応温度算出装置、反応温度算出プログラム、及びコンピュータの非一時的可読記録媒体
等
これからも石油事業において製油所稼働率の最大化・サプライチェーンの強化を目指した取り組みを進めてまいります。
●脱炭素社会を見据えた低・脱炭素供給基盤の構築
•SAF供給体制拡大に向けた対応
当社グループは、気候変動の視点をより一層取り入れた経営計画を策定・実行していくことが、地球環境や社会、そして当社グループの持続的な発展に不可欠であると認識しており、2021年5月には「2050年カーボンネットゼロ」を宣言し、2022年5月にはその実現に向けた取り組みと工程を整理したロードマップを策定しました。さらに、2026年6月にはロードマップの改訂*を行っております。
当社グループは、日揮ホールディングス株式会社および株式会社レボインターナショナルと共同で、国内における廃食用油の収集からSAFの製造・輸送・供給に至るまでのサプライチェーン構築に向けて事業化検討を進め、2022年に新会社SAFFAIRE SKY ENERGYを設立しました。国内で発生する廃食用油のみを原料とした年間約3万キロリットルのSAFの供給を目指し、2024年12月にはSAF製造設備(プラント)が完工しました*。
2025年度からは、国内初となるSAF量産化を実現し、エアライン向けに国産SAFの供給を開始しました*。 SAFの安定供給へ向けた取り組みの中で生まれる技術やアイデアは、特許出願・権利化を進め、航空業界の脱炭素化に貢献していきます。
特許第7805212号:航空燃料油および航空燃料油用基材
特開2025-151369:航空燃料油
特開2025-151370:航空燃料油
等
石油/次世代エネルギー(販売)
●燃料油販売高度化・モビリティサービス拡大
•【コスモの公式】アプリや多様なデータを活用したマーケティングの高度化
お客様の多様なニーズに対応する商品やサービスを開発し、他社に先駆けた価値を提供していることが強みです。給油時の利便性を向上させる【コスモの公式】アプリ(旧カーライフスクエアアプリ)*を開発。商品情報やお得なクーポンの配布に加え、商品の決済においてQRコード※を提示するだけで燃料油代金の支払いが出来る決済サービス「コスモSS Pay」や「油種」「給油量」「共通ポイント」をあらかじめ登録できる「アプリ給油設定」機能を搭載。「コスモMyカーリース」は累計140,000台を突破するなど、モビリティサービスも拡大してきています。これらのサービスにおいても実施権の確保、活用を目的として、特許出願・権利化・商標登録を進めてきました。
今後も【コスモの公式】アプリを中心にお客様のニーズを踏まえたマーケティングの高度化へ取り組んでまいります。
※QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。
特許第7128921号:燃料油の販売方法および燃料油の販売システム
特許第7626374号:燃料油販売システム、販売システムおよび値引き額決定方法
特許第6748758号:車検費用の提供システムおよび車検費用提供方法
特許第6553789号:車両の提案方法、提案装置、提案システムおよびプログラム
等
また、サービスステーション運営の効率化や安全性の向上を目指し、AIを活用したシステム開発も進めており、それらに関連したシステムも知的財産権化を進めています。
特許第7061176号:販売員への販売指示提案提供システムおよび方法
特許第6990286号:購入履歴の取得システムおよび方法、およびそれらを用いた顧客データベースの更新システムおよび方法
特許第7584211号:給油制御システム
等
石油/次世代エネルギー(NEXTグロース・石油化学)
●半導体・電子部品材、熱対策材拡大
• 機能化学品の拡大
-フォトレジスト用樹脂販売量 2028年度:2025年度対比 1.3倍
第7次連結中期経営計画においては、高付加価値な石油化学製品事業の開発・拡大を図ります。
グループ会社の丸善石油化学では、機能化学品である半導体集積回路生産用のレジスト用ポリマーを開発、供給*しています。今後も様々なニーズに合わせた商品開発や生産技術開発を進めます。
特許第7119066号:新規の二官能(メタ)アクリレート化合物および重合物
特許第6815779号:ヒドロキシスチレン系重合体およびその製造方法
等
• 放熱材の拡大・商品ラインナップ拡充
-非シリコーン系グリース販売量 2028年度:2025 年度対比 4倍
また、潤滑油メーカーであるコスモ石油ルブリカンツでも、その商品開発技術を応用して、TIM(Thermal Interface Material)やMR(Magneto-Rheological)流体と呼ばれる機能性材料*の開発を行っています。
TIMは、電子部品の発熱体と放熱部品の隙間を埋め、接触熱抵抗を低減することで発熱体の冷却を促進します。
MR流体は、外部からの磁界に応答して、流動特性が変化する特性をもっています。
特許第7460552号:硬化性組成物及び硬化物
特許第6263042号:基油拡散防止性能を有する熱伝導性グリース
特許第5944306号:高熱伝導性グリース
特許第7832030号:熱伝導性グリース組成物
特許第6807814号:磁気粘性流体組成物
特許第6807813号:磁気粘性流体組成物
資源開発
●原油生産量最大化
• 既存油田の生産量最大化(2025年度 43kB/D → 2028年度 51kB/D)
脱炭素、カーボンニュートラルへの世界的な動きのなかであっても、石油から得られる燃料油、潤滑油や石油化学製品原材料の需要に対し、それらを安定的に供給する必要があります。
コスモエネルギー開発は、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国、カタール国において、原油の自主開発・生産を行っています。
石油開発において環境負荷を低減する方法の1つとして、採掘した原油を保管しているタンク中に生じるスラッジから、有用な油分を回収し、結果として、産業廃棄物であるスラッジを削減し、有用な油分をより多く生産することが考えられます。
そこで、コスモ石油は、原油スラッジ中の油分の処理に関する特許権を取得し、その上でアブダビ石油および独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とともに、スラッジ削減方法の実証試験を行い、従来技術より50%以上のスラッジを削減することに成功しました*。
特許第6136042号:原油スラッジ中の油分の処理方法
特許第6625936号:原油スラッジ中の油分の回収方法
電力サプライチェーン
●競争力のある電源の確保・拡大
•風力発電拡大(2025年度353MW →2028年度440MW)
電力サプライチェーンの主要事業の1つである、風力発電事業*においては、ウインドファームの開発とともに、風力発電電力の安全安定、効率的供給のための、装置監視・保全管理システムの開発も検討しています。コスモエコパワーではこれまでにも、風力発電装置の検査方法、監視システムなどを開発し、それらの成果については、特許出願・権利化を進めてきました。
特許第6420451号:風力発電機用ブレードおよび風力発電機用ブレードの検査方法
特許第6305450号:風力発電機用ブレードおよび風力発電機用ブレードの検査方法
特許第6185541号:風力発電機用ブレードの検査方法
特許第6006706号:風力発電用風車の監視システム、風力発電システム、風力発電用風車の監視方法及び風力発電用風車の監視プログラム
等
今後もIT、AIを活用した効率的な検査方法や監視システム開発を進め、特許による権利化により、競争力と企業価値向上を目指します。