トランジション期の燃料供給、品質確保
世界的な脱炭素化社会へのシフトにより、輸送機器の燃料は既存燃料油から次世代燃料への転換が徐々に進むとされています。研究開発部門では、このトランジション期における燃料供給に対し、既存装置を活用したインバランスの解消や既存燃料への新燃料のドロップイン等に取り組んでいます。
既存の精製設備の活用
石油製品は原油からLPG、ガソリン、石化原料、灯油、軽油、重油など複数の製品が同時に連なって生産される連産品と呼ばれています。そのため、需要に合わせて燃料油の生産量を調整することは、石油事業の収益を最大化させるために重要な技術となります。研究開発部門では、石油製品需要の変化に合わせて、各装置の触媒開発や運転条件の検討に取組んでいます。例えば、将来的に需要減少が見込まれるガソリンであれば、原油から蒸留装置、脱硫装置、流動接触分解装置(FCC)や接触改質装置(RF)を経て生産されていますが、脱硫装置、FCC、RFには触媒が用いられており、運転条件の最適化や触媒開発を進めることでガソリンから他の製品への転換を進めることができます。このように、既存装置を余すことなく活用し、将来の需要と現在の供給とのインバランス解消にむけた取り組みを進めています。
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新燃料のドロップイン
今後、乗用車等での電動化が進む一方で、長距離移動や大きな出力が必要となる輸送機器では、これからもエネルギー密度の高い液体燃料が使われ続けると考えられます。しかし、世界的な脱炭素化社会へのシフトにより、石油由来の燃料からバイオ燃料、SAF、合成燃料、e-メタノール、NH3等の新燃料への転換が求められています。このような燃料トランジション期においても安定的に燃料を供給していくため、研究開発部門では、石油由来の既存燃料と新燃料のドロップイン(混合)利用における品質課題等について検証しています。
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