フィリピンはまだ雨季で、植えたばかりの苗に肥料をやるにはちょうどいい季節です。管理人の女性は鋤を使って、生長している苗の根元を中心に半径40~50cmの円内の土層を数センチ取り除いています。これはring weedingと呼ばれ、雑草がすぐに生えるのを防ぐのが目的です。
チークやナラなど火災に強い木々を植林し、
豊かな熱帯林を少しずつ再生。
地道な活動により、州政府から感謝状をいただきました。

プロジェクトパートナー:
公益財団法人 オイスカ
プロジェクトの目的
火災に強い樹種の植林や防火帯などの整備により、森林火災から森を守る。
背景とプロジェクト概要
フィリピンで最も大きな島であるルソン島では、20世紀後半に森林伐採が進行。さらに山火事や牛の放牧などによって、かつて州の約86%を占めていた森林が、1980年代には約25%まで激減してしまいました。大型台風による洪水や森林火災など自然災害の脅威・リスクもあり、住民の生活を脅かしています。エコ基金では、暴風や乾燥のほか火災に強い木々の植林や防火帯を整備する活動と、住民の力で森林再生をめざすための環境教育を支援しています。
2024年度 プロジェクトレポート!
9年間の活動で約5万本の植樹を行い
住民主体で生物の多様な森の再生と防災体制を確立しました。
COSMOエコ基金による支援は今年度が最後となりますが、9年間の活動で902,500㎡の土地に49,283本の植樹を行うことができました。土壌状態が悪く自然災害の脅威も多いなか、苗木の生存率は95%を超え、また、対象地域での山林火災の発生は劇的に減少しています。これは、防火帯や動物よけの柵の設置など住民主体で再生した森を管理する体制づくりや若い世代を巻き込んだ環境教育を進めてきた努力の結果です。
地域の自生種を植えたことで生物多様性も改善されました。はげ山だった活動地域に6種の猛禽類が確認できるようになったのも、豊かな生態系が回復されつつあることが確認されています。
災害リスクのあるエリアで植栽した苗の生存率 95%
※本プロジェクトは2024年度に完了いたしました