未来遺産運動として子ども向けの環境学習や、学生の調査研究が実施されました。
大学などと連携し調査や研究のフィールドとしての整備が進んでいます。
プロジェクトパートナー:特定非営利活動法人 自然回復を試みる会・ビオトープ孟子
プロジェクトの目的
孟子不動谷の里山を保全しながら、環境教育・里山体験を実践する。
背景とプロジェクト概要
和歌山県の孟子不動谷にあるビオトープ周辺には、ニホンアカガエルやセトウチサンショウウオ、さらにはベニイトトンボなどの希少な生物が棲んでいます。この20,000㎡におよぶ広大な面積を保全することで、「天然のダム」としての水田機能を復元。その結果として、トンボ類30種、両生類8種、爬虫類9種、鳥類6種が生息する水辺環境をめざします。また次世代を担う幼稚園児から高校生が、定期的にこのエリアを訪れており、ユネスコの未来遺産運動における主要な研究地として活用していく計画です。
2022年度 プロジェクトレポート!
新たなエリアでも草刈りなどの整備をスタート。生き物がさらに棲みやすい環境へ。
孟子不動谷にある「やすゆき公園」と「天堤池堤体」周辺を、生物多様性豊かな環境に戻す活動を進めました。コツコツと取り組んできた成果なのか、自生しているハンノキ(広葉樹の一種)には、2センチほどのミドリシジミ(チョウの一種)が安定的に生息しているようです。4月から6月にかけては、自然環境を知るうえでのバロメーターになるチョウの生息調査を実施し、さらに7月以降は周辺部の草刈り作業により、生き物が棲みやすい環境をつくりました。2023年度からは、植物の専門家とも連携しながら、貴重な湿地環境を保全していく予定です。
湿地環境を保全・整備したエリア 20,000㎡
幼稚園児から大学生まで、幅広い年代が参加した未来遺産運動。それぞれ観察や研究をしました。
メイン活動のひとつである「未来遺産運動」では、たくさんの若者たちが参加してくれました。幼稚園児を対象にしたプログラムでは、毎月1回のペースで各10名前後の子どもたちが自然観察を続けました。地元の中学校の理科部に所属する学生たちは鳥類調査を実施。これは、ある範囲内の鳥の種類と生息密度を把握する「ラインセンサス調査」のほか、孟子不動谷内4ヵ所にカメラを設置して鳥類や哺乳類のデータ収集を行うかなり本格的なもの。さらに大学生はホタルの研究を行うなど、ビオトープ周辺の貴重な環境を活用しました。また、活動を紹介するPR動画を制作して、団体のホームページで公開。子どもたちのいきいきとした表情から、このプロジェクトの充実ぶりが伝わってきます。
※適切な感染対策を講じたうえで実施しております。
未来遺産運動・研修参加者 201名