定置型有機農業をさらに進めるため、肥料づくりや稲作に力を入れるとともに、熱帯雨林と共存するコミュニティを育成。
プロジェクトパートナー:公益財団法人 オイスカ
プロジェクトの目的
熱帯雨林を保全しながら、地域住民の経済的な自立をめざす。
背景とプロジェクト概要
この国には、かねてより世界的にも価値のある原生林が広がっていました。しかし近年、焼畑農業のさらなる拡大や開発業者による森林伐採、そしてオイルパームプランテーションの急速な進行によって森林面積が減少しています。その根本的な問題のひとつは、生活の苦しい現地の人たちが現金収入を得るために、森林を業者へ売却してしまうことにありました。そこで、このプロジェクトでは定置型有機農業の技術指導をすると同時に、農産物などを使用した地場産業の育成も促進。環境保全と経済力アップの両立をめざしています。また、この取り組みを通じて、現地のリーダー育成にも貢献しています。
2022年度 プロジェクトレポート
竹の葉や鶏糞など有機農法を進める肥料を開発。稲作栽培の指導も進みました。
2022年度、パプアニューギニアには例年よりも早く乾季が訪れました。そのため、農作物を乾燥や高温に耐えられるようにしながら、もっと実付きをよくできないかという声が日本人スタッフの耳に。有機農業で進めるため必要な土づくりに、竹の葉、葉っぱに鶏糞を混ぜてつくった堆肥など、現地で調達できる天然素材でトライしました。また、40戸の農家が稲作栽培の指導を受け、ノウハウが定着してきたことで、米の収穫量も増えつつあります。こうした成功体験が、現地に有機農法を根付かせる力になっていきそうです。
稲作栽培指導参加者 40農家
住民の経済的自立の鍵となる女性のエンパワーメントに注力。バンズ焼き教室やピーナッツバター加工の研修などを通じて商品化をめざしています。
村民たちが環境破壊を進める一因である焼畑に頼らないためには、女性の収入手段を確保することが欠かせません。そのため、彼女たちが技術を習得できるさまざまなプログラムを実施しています。例えば、各2回実施したバンズ焼き教室とピーナッツバターを加工する研修は、同時開催することで、完成したバンズにピーナッツバターを付けて、オリジナル製品として販売することもできました。村で手に入る資源をもとに、加工や販売に必要な技術がこうした研修を通じて普及していくのが楽しみです。
※適切な感染対策を講じたうえで実施しております。
女性向け研修参加者 33名