9月は未来遺産運動のほかに、水田依存の動植物の保全のために継続している無農薬圃場における稲刈を実施しました。
昨年はイノシシによる襲撃を受け、ほとんど収穫できず残念でしたが、今年はエコ基金を活用して新たな電気柵を設置したことにより刈り取りを行うことができました。
稲刈作業の際に実施した圃場周辺のモニタリング調査でも、100種を超える生物が確認でき、目標にしていた多様性の保全が実現できたと考えています。
なかでも、20年以上不動谷で未記録であったショウリョウバッタモドキ(バッタ科)を確認できたことは特筆すべきことと感じています。
未来遺産運動として子ども向けの環境学習や、学生の調査研究が実施されました。
大学などと連携し調査や研究のフィールドとしての整備が進んでいます。
プロジェクトパートナー:
特定非営利活動法人 自然回復を試みる会・ビオトープ孟子
プロジェクトの目的
孟子不動谷の里山を保全しながら、環境教育・里山体験を実践する。
背景とプロジェクト概要
和歌山県の孟子不動谷にあるビオトープ周辺には、ニホンアカガエルやセトウチサンショウウオ、さらにはベニイトトンボなどの希少な生物が棲んでいます。この20,000㎡におよぶ広大な面積を保全することで、「天然のダム」としての水田機能を復元。その結果として、トンボ類30種、両生類8種、爬虫類9種、鳥類6種が生息する水辺環境をめざします。また次世代を担う幼稚園児から高校生が、定期的にこのエリアを訪れており、ユネスコの未来遺産運動における主要な研究地として活用していく計画です。
2024年度 プロジェクトレポート!
新たに2枚の「ふゆみずたんぼ」も開設し
貴重な水生生物も数多く確認できました。
新たに2枚の休耕田を「ふゆみずたんぼ(田んぼビオトープ)」にしました。ふゆみずたんぼは冬にも水をためて生物多様性を保全する田んぼです。地域の人たちと続けている水生生物のモニタリング調査では貴重なゲンゴロウ類も確認され、激減傾向にあるオオミズスマシも良好に発生しています。
また、環境省の「自然共生サイト」に活動エリアを登録しました。これは、民間の取り組みなどで生物多様性の保全が図られている区域を認定するものです。2025年から認定サイトに関する新法が施行されるため、ふゆみずたんぼの増設とともに、地域の自然再生の大きな足がかりになると期待しています。
新規のふゆみずたんぼ 2枚
確認種 45種


年度別月次レポート
2025年1月の進捗報告
ふゆみずたんぼの拡張工事を始めています。現行のふゆみずたんぼには、ニホンアカガエル、セトウチサンショウウオ、ヒクイナ等の希少動物が産卵・繁殖をしている実績があるので、今回拡張するエリアにも、そのような生物が入るのを期待しています。

