カーボンネットゼロに向けた取り組み
当社グループは、2021年に「2050年カーボンネットゼロ」を宣言し、「グループの事業活動から排出する温室効果ガス(Scope1およびScope2)を2050年までにネットゼロにする」目標を掲げ、2022年にその実現に向けた取り組みと工程をとりまとめたロードマップを策定しています。
さらには、第7次中計の発表に際し、カーボンネットゼロの対象をサプライチェーンまで拡大し、Scope3も含むカーボンネットゼロをめざすと宣言し、GHG排出削減への取り組みと実現に向けた検討を推進しています。
「2050年カーボンネットゼロへのロードマップ」は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)におけるシナリオ分析や、外部環境・内部環境の分析等を基に策定しました。
石油業界と連携したカーボンニュートラルへの取り組み
コスモ石油ならびにコスモ石油マーケティングは、国内の石油精製・元売会社による団体である石油連盟の会員として、石油連盟が策定した「石油業界のカーボンニュートラルに向けたビジョン(目指す姿)」に参画し、取り組んでいます。
◎石油業界のカーボンニュートラルに向けたビジョン(目指す姿)
石油業界は、サプライチェーンや製品の脱炭素化の取り組みを加速化し、さらに既存インフラが活用できる革新的な脱炭素技術(①CO2フリー水素、②合成燃料、③CCS・CCU(カーボンリサイクル)など)の研究開発と社会実装にも積極的に取り組むことで、事業活動に伴うCO2排出(Scope1+2)の実質ゼロ(CN)を目指すとともに、供給する製品に伴うCO2排出量(Scope3)の実質ゼロ(CN)にもチャレンジすることにより、社会全体のカーボンニュートラルの実現に貢献します。
尚、当社グループ指針に比べ業界団体の立場が著しく弱いまたは矛盾する場合は、団体に対し働きかけを行い、万一相違が生じる場合には自社の立場を優先します。
温室効果ガス排出量削減の進捗状況
当社グループはこれまでも「温室効果ガス排出量の削減」を重要な課題と捉え、サプライチェーン全体でのCO2排出量削減に取り組んできました。
第6次中期経営計画の最終年度である2022年度CO2排出量実績は692万tとなり、2013年度比7.2%削減(目標16%削減)にとどまりました。製造部門の効率化によりCO2排出原単位は改善しましたが、販売増により原油処理が計画を上回ったこと、および再生可能エネルギー拡大(風力発電)の設備稼働が2023年度に一部遅延したことがCO2削減貢献量に影響しました。
当社グループの第7次連結中期経営計画においては、2050年ネットゼロをめざすロードマップに基づき、GHGの削減に向け、さらに取り組んでいきます。
グループ全体のCO2排出量(万tCO2)
2013年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |
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輸送部門(原油・原材料・製品) | 90 | 81 | 75 | 71 | 77 | 84 |
製造部門(石油・石油化学) | 676 | 620 | 650 | 631 | 662 | 651 |
その他(SS・研究所等) | 4 | 2 | 2 | 3 | 2 | 1 |
バイオ燃料(ETBE配合)※1 | ▲7 | ▲14 | ▲13 | ▲14 | ▲17 | ▲19 |
再エネ拡大(風力発電)※2 | ▲16 | ▲24 | ▲27 | ▲25 | ▲27 | ▲24 |
小計:CO2排出量 | 746 | 665 | 688 | 666 | 697 | 692 |
CO2以外のGHG排出量 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 |
総計:GHG排出量 | 747 | 667 | 690 | 668 | 699 | 695 |
※1 バイオ燃料:ETBE配合ガソリンによるCO2削減貢献量をマイナスのCO2排出量として算定。
※2 再エネ拡大:総発電量×各年度の代替値によりCO2削減貢献量をマイナスのCO2排出量として算定。
*1 「グループ全体のCO2排出量」と「事業活動における環境負荷」に記載しているCO2の集計方法には以下の違いがあります。
・再エネ拡大(風力発電)は、連結中期サステナビリティ計画の目標設定に含めているため、「グループ全体のCO2排出量」に含まれています。
・原油生産によるCO2排出量は、連結中期サステナビリティ計画の目標設定に含めていないため、「グループ全体のCO2排出量」に含まれていません。
・製品使用によるCO2排出量は、連結中期サステナビリティ計画の目標設定に含めていないため、「グループ全体のCO2排出量」に含まれていません。
・丸善石油化学(株)の製品輸送によるCO2排出量は、連結中期サステナビリティ計画の目標設定に含めていないため、「グループ全体のCO2排出量」に含まれていません。
・丸善石油化学(株)研究所のCO2排出量は、連結中期サステナビリティ計画の目標設定に含めていないため、「グループ全体のCO2排出量」に含まれていません。
なお、「事業活動における環境負荷」にて開示しているCO2の算定方法は、「事業活動における環境負荷」の注記をご参照ください。
*2 「グループ全体のCO2排出量」は、GHGプロトコルのScope1および2の基準に沿って算定した「2050年カーボンネットゼロへのロードマップに記載している2013年度(基準年)のネット排出量(686万ton)」とは違いがあります。
「グループ全体のCO2排出量」には、Scope3である輸送部門のCO2排出量が含まれますが、Scope1である原油生産が含まれていません。
省エネルギー活動
製油所における2022年度のエネルギー消費原単位は、省エネルギー活動(ユーティリティバランス最適化システムの導入など)の推進や、生産数量増加により装置稼働率が向上したことで、前年度比で約0.4%の改善となりました。一方で、CO2排出量については前述の生産数量増加などにより、前年度比で約0.4%の増加となりました。2023年度も引き続き、ハード面・ソフト面の両面から省エネルギーに努めていきます。
※製油所の総エネルギー消費量を精製技術の複雑度を考慮した原油換算処理量で割った値で、単位は、kl-原油/千klで表します。総エネルギー消費量は、熱や電気などの各種エネルギーの使用量を原油換算し、単位はkl-原油です。
環境配慮型事業の展開
法人向けコスモでんきビジネスグリーン
コスモ石油マーケティングでは、ご家庭のお客様のみならず、法人のお客様へも再生可能エネルギーを提供しております。低圧から高圧・特別高圧まで対応した法人向けのコスモエコパワーの風力由来の電力プラン「コスモでんきビジネスグリーン」を販売しており、地球温暖化対策推進法やRE100等に準拠する電気を手軽に導入いただけます。
同電力プランでは、100%再生可能エネルギー由来電力とするメニューのほか、再生可能エネルギー比率を30%・50%・70%からお選びいただけるメニューも用意し、徐々に再生可能エネルギーを導入拡大していきたいお客様のニーズにもお応えいたします。また、コスモでんきビジネスグリーンご契約のオプションとして自社施設に太陽光発電設備を初期投資なしで設置可能なPPAプラン「ソーラープラン」も販売しております。使用電力の一部として、太陽光発電で自家消費できるとともに、災害時の非常用電源としての活用可能です。
コスモ・ゼロカボソリューション
2021年9月、上述の再生可能エネルギーに関するサービスと、コスモが長らく取り組んできたカーリース、また新たな取組みとして推進しているカーシェア等のモビリティサービスとを組み合わせ、再生可能エネルギーとEV(電気自動車)をセットで提供し、自治体や法人の皆様の脱炭素化の取組みをワンストップで支援する商品「コスモ・ゼロカボソリューション」を販売開始しました。
「脱炭素化に向け出来ることから始めたい」、「再エネ電力やEVをどのように導入すればよいか分からない」等、疑問・悩みを抱える自治体や法人の皆様に対し、手軽で便利な再エネ・EV導入機会を提供し、CO2削減を初めとした種々のメリットを提供いたします。
コスモ石油マーケティングでは、今後もより多くの自治体・法人の皆様が脱炭素化の取組みを手軽・便利に行えるよう、更なるサービスの充実化を図ってまいります。